そしてレバサシは記憶の彼方へ?


絶対安全な「疑似牛レバ刺し」、見た目や味・食感などをこんにゃくで再現。 | Narinari.com


日本以外ではCrab stickなどと言われて,カニの代用品ではない健康食品として支持されているカニかまぼこ.寿司ネタとしても一般的だそうですね.

こんにゃく関連商品製造・販売のハイスキー食品工業は“生で食べても絶対安全な食材”として、こんにゃくを使ったレバ刺しの疑似食品「マンナンレバー」を開発した。同社によると、「牛レバ刺しそっくりの味と食感が楽しめる」という。価格は1袋20枚入り(400グラム)960円(税込み)。


こうして,レバサシがご禁制の品になると,アングラ食品として食べられることはあれども,この先日のあたる場所に出る日がくるのやら?

そもそも,僕が子ども,いや高校生ぐらいの頃だって,焼肉屋ってのは大人だけが行く店であって,それもどちらかと言うと水商売関係のひとや,その筋の方々が主たる客層だったような記憶がある.仲良くなったバンドマンのバイクの後ろにのって,キャバレーのハコバンを二階のバルコニーから見物した後に食べるような,かなり大人の食べ物だったと記憶している.

それが,それから数年経つと郊外には家族やワカモノを当て込んだ食べ放題の焼肉屋ができ,修士の頃かな?研究室のメンバーではじめてその手の食べ放題店に行って,少なからず違和感を覚えた.

そうそう,食べ放題焼肉より少し前から広がった回転寿司ってのも,違和感があったな.こういうのは皆大人の食べ物であって,子どもは立ち入っちゃいけない領域だと思っていた.そういった,大人だけの領域はどんどん侵食され続けて,居酒屋に普通に子ども連れが来店するし,そば屋の個室からは子どもの嬌声が聞こえるのが当たり前になって久しい.

思えば,僕が子どもの頃には大人と子どもとの間には高い壁がそびえていて,大人の真似事はできたとしても,大人と同じ場所は厳然と子どもを遠ざけていた.また,それこそが,子どもが早く大人になりたいと思う動機のひとつでもあったと思う.そう,隣の芝生同様に,足を踏み入れる事が難しいからこそ,いつの日か自分がという推進力になった.

そう思うと,子どものうちから何でも望みがかなってしまう今の子どもにとって,成長を喚起するしかけってのはあるんだろうか?種明かししちゃった手品を愉しめる程に今の子どもたちはオトナなのだろうか?そうは見えないのだが…

実際におとなになってしまえば,面倒なことばかりで外から大人を眺めていた時ほどいいものではない.それでも,子どもの頃に戻りたいですか?とたずねられたら,敢然と拒絶する,絶対に嫌だ!ましてや,自分が子どもだった頃より確実に可能性は狭まり,荷物だけは重くなる一方で,なにやら暗雲が立ち込めているのが子どもにまで地続きでわかってしまうようなこの時代に,自己決定権とそれを実現するだけの力さえ持たない子どもである時間なんて,1分,1秒でも短い方がいい.

なるほど,今の時代に僕が子どもだとしたら,大人への憧憬ではなく,こんな大人どもには任せてはおけないという恐怖感から自分を成長させるだろう.気がつけばSFの中の未来が自分に追いついていた.


クラークの第三法則における第二法則ははからずも実現されていたということか
「可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである。」
クラークの三法則 - Wikipedia