熟成30年もの



日曜日は,市民交流センターあさひ西というところに行って,だどん結成30周年CD&発売記念記念コンサートを聴いてきました.

だどんウェブサイト
http://dadon.jp/



会場が,どこの駅からも均等に遠いという不思議な場所でしたが,中津からバスに揺られること十数分で無事に会場最寄の生江のバス停に到着.開演前に軽く食事でもと思うが,日曜日の昼下がりということもあり,どこも開いていないので,バス停を一つ戻り,餃子の王将へ.暑さの中で汁物は勘弁と思い,焼きそばを注文したが,後で気がつくと背中には冷麺のポスターが…ま,そういうもんだよね.


入場料は1000円…いいのかこれで?会場は,コミュニティセンターのようなところで(謎),その二階にホールがありました.リノリウムのタイル貼りの床で音楽用というよりは,演劇などに使われるホールの用で,キャパシティ300程度の会場にして照明設備にピンスポットがあるあたりからも,聴くよりは観るを主に造られたホールのようだ.そこに,意外なほど本格的なPA機材が並び,実際BGMで流れている音楽も想像以上に明瞭だった.


会場の説明がしたいわけではないのだが,少々余談が長過ぎた.


予定の時刻を若干過ぎてからコンサートははじまった.壇上には三人のメンバーが並びそれぞれがギターを抱え,サポートの(よく見知ったw)ミュージシャンがバックをかためる.ホールだからといってギミックの類は一切なく,ただ丁寧に一曲一曲を歌っていく.


音楽の内容なんてのは,つたない文章でも,否,いかなすぐれた文章であってもレビューしたところで伝わりはしない.そこは,30周年の記念ってのはあの一日だけで,その場に居合わせた人だけの思い出であり,そのうち,どこかで映像なり,音声なりを見聞きした人が追体験でもしてもらえばいい.それゆえ,個々の曲がどうでした,あの曲のソロが云々という話は一切書きません.


9月には,ほぼ同じメンバーでライブもあるので,そちらに行くのもいいと思う.


近頃は,酒の値段も安くなったが,熟成何年なんて酒は相変わらずいい値段がついている.30年前,1979年をウィキペディアで調べてみると,共通一次試験や「ズームイン!!朝!」,大山のぶ代の「ドラえもん」がはじまった年で,スリーマイル島原発で事故が起きたり,イギリスではサッチャーが首相に就任したり,イラクではサダム・フセインが大統領に就任したり,韓国では朴正煕大統領が暗殺されたりもしている.今や見る影もないが,ソニーウォークマンが発売されたのもこの年だ.


相撲は年間三場所北の湖が優勝,プロ野球は広島と近鉄日本シリーズを戦い,江夏を擁した広島が日本一に輝いている.


音楽ではジュディ・オングの「魅せられて」,八代亜紀「舟唄」,小林幸子「おもいで酒」,松坂慶子「愛の水中花」,千昌夫北国の春」,牧村三枝子「みちづれ」とそれぞれの代表曲が一年間にリリースされている歌謡曲の黄金期だった.ポップスも,サザンオールスターズゴダイゴ,ツイストあたりが頭角を現してきた頃だ.この年のデビューと言えば,久保田早紀「異邦人」に円広志夢想花」多くは言うまい語るまい.されど,二人ともジャンルを変えて活躍中であるのはご同慶の至り.


このほか,名前を上げなかった数多くのスターたちが1979年の歴史を彩っている.あまりつながりは感じないが,あの「ガンダム」がはじまったのもこの年だ.


いろんなものが,歴史の中に消えて行った中で,30年経って,うまれた町でそれこそご近所のおじちゃん,おばちゃんが,じいさん,ばあさんになるくらいにまで,同じ顔ぶれで,同じように音楽を続けて来たってのは,これは偶然と努力とのどちらかを欠いても起こらなかった奇跡だろう.


うらやましいって言ってみたところで,僕はこの三十年で何回引越をしているのか,東の町から西の町までジャパネットたかたのCMのように移動してきた,いろんな意味でふるさとという言葉が像を結ばないのだから真似することはできない.結果として過去の影響は蒙っているが,あまり(自分の)過去には執着しない.2010年の自分の目から見える過去や今のうちで,2010年の文脈で素敵だなと思うものだけを愛でる.2011年,否,明日にだってまた価値観は変わっているかもしれないが,それはその時にならないとわからない.


ともあれ,この日曜日は,2010年にしてなお,FOLK SONGと呼ぶのが最も相応しい音楽を堪能してきました.35周年,45周年,肉体の衰えはあるでしょうが,これからも,本質の部分を変えずに続いていくことを願っています.