「不美人は絶滅しました」もしくは,おとなになるってのは,他人に寛容になること



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「女性のすっぴんに幻滅した」、男性の6割
8割以上の男性が「女性のすっぴんが好き」、9割が関心あり
2011年11月28日
(日経ウーマンオンライン)


表題の通りに,おとなになるってのは,他人に寛容になることだと思っています.ここで,「おとな」と言っているのは,年齢によるものではなく,自らの内面的な様相の変化を意図しています.


生物は,放っておいても加齢はします.我々の細胞は,日々そのテロメアの長さを減じています.誰もが,いつの日か細胞分裂の歯車が止まって永い眠りにつきます.


All human beings are mortal.


人の寿命はこの百年で大幅に長くなりました.食料,衛生,医療とさまざまな要素は平均的な人の一生をより長くする方向にはたらいています.


そして,そうした社会を支えるべく,教育に費やす期間の総和はどんどん長くなっています.また,仕事をする上でも「男女平等」の名の下に生物学的に子孫を残すのに好適な時期と,就労における重要な時期とが重複した結果,多くは就労の方を選ぶようになりました.「平等」な割には,男性の家事手伝いってのはほとんど見かけませんが…ようは,「平等」ってのは全員就労せいってことで,個人の幸せよりは制度の維持が…よけいな事はこれくらいにします.


ともあれ,ロマンチックラブ・イデオロギーの浸透によって,恋愛・結婚・出産・育児という一連の流れこそが王道であるといった認識が広まっているが,んなもんは20世紀以降の西欧かぶれ以降の話であり,必然でもなんでも無いんだが,生まれた時に存在したものは自然に等しいようで,ここに意義を唱えると奇人扱いをうける.


恋愛なんてのは,生まれてから死ぬまで,能力を持つ者はその年齢なりの方法で続ければいい事であり,そのためには自身の間口を広くしておく事が肝心だと思う.


数的な裏づけは用意していませんが,この二十年の間で,巷には「ぶさいく」カテゴリの女性の数は大幅に減りました.いや,「若い」女性の間ではブスが絶滅危惧種に指定されているんじゃないかと思うくらいに減りました.もちろん,高々二十年程で遺伝子が変化するはずもなく,これらは後天的な要因が強くはたらいているであろうことは容易にうかがい知る事が可能です.


おそらく,プリクラってのがトリガーを引いたんじゃ無いかと思っています.これまで,朝や化粧直しの時間にしか直視してなかった自分の顔を,「他人との比較」の上で何度も見直している事で正のフィードバックがかかり,「きれいになりたい」や「きれいにならなきゃ」ってモチベーションが喚起されたのでしょう.余談ですが,同性の目を意識したファッションやメイクってのも,プリクラが原因なのかなぁとも.


プリント倶楽部 - Wikipedia


喚起されたモチベーションに対して,それに応じる技術も向上していきます.一部には整形手術のカジュアル化もあるでしょうが,それ以前に服装や化粧技術の進歩が,一昔前なら「並以下」だった容姿であっても,「かわいい」までもって行く事は可能であり,これは社会的なスキルの向上を意味するんじゃないかと思います.


後天的な美しさは(たとえそれが我々不特定の男性をターゲットにしていなくとも),不断の努力の賜物であり,褒め称えられて然るべきものでしょう.だって,それは努力によって何回でも再現できるし,自分のガールフレンドなり,パートナーなりが努力の結果かわいくなる訳なんですから.年々そのスキルは向上して,いまや三十代,四十代でも,今の評価軸で見て「きれい」と呼べる層が大幅に拡大しています.そのうち,三十代や四十代からも「不美人」は過去のものとなる事でしょう.


その恩恵は,自らの見た目に対してろくに努力してこなかったであろう彼女無しの喪男(悪かったなw)にだって,眼福という形で反映されます.世の中に美人が増えるってのはいい事じゃないですか.





2011年の今「すっぴん」の美しさなんてのは,遺伝子レベルで考える時にはじめてあたまをよぎる論点でしょう.自分の顔と,相手の顔を脳内で合成したら…とかね.いや,最早,遺伝子レベルで考えても,我が子を「かわいく」する手段が数多あるのであれば,化粧以前の顔を見てどうこう言う事がナンセンスに思えてきます.


ようは,泥酔した日の翌朝,相方の寝起きの顔を見て,「こいつも人間だなぁ」と受け入れてしまう方が,「だまされた…」とか言うよりはおとななんじゃないかなぁと思う訳ですよ.


自説に戻ると,「他人に寛容になること」は自身にとっても有効に機能するはずです.昨今の男女間格差に,ともすれば自分の「賞味期限」を伸ばすことに熱心になっている男性も多いと思いますが,女性の「賞味期限」を長く見なす方が,競争を優位に進めることを可能にするのではと…


老婆心ながらw