サウンドメッセin大阪2012

サウンドメッセin大阪2012


台風の吹き荒れる風のなか,地下鉄とニュートラムを乗り継いで,ATCホールサウンドメッセに行ってきました.

サウンドメッセ in OSAKA | 国内最大級!ギター・ウクレレの祭典「サウンドメッセ in OSAKA」の公式サイト。


まずは,梅田ナカイ楽器のブースにあいさつに行ってから,各ブースを見て回りました.
http://www.umenaka.com/umenaka_gb_aco.htm


今回は,黒澤楽器のブースがやたらに目立ってました.輸入元であるC.F.Martinの大ブース(見てないけどw)をはじめ,Gibson,Martin(とKamaka)のブースに,計5区画も使って出展してました.関西では店舗を持っていない(クロサワバイオリンを除く)ので,知名度アップの公算もあったのだろう.


1963年製のMartin New Yorker (サウンドメッセ特価210,000円)が実によかったが,先立つものが無くては買えません.近頃,パーラーサイズのギターの良さがわかる年齢になってきて,なるほどこの軽やかさはいいなと思い始めてきました.まぁ,おっさんの度が進んだだけの事ですが.
Martin 0-16NY
http://www.kurosawagakki.com/items/detail/189429.html


その他,噛んだ紹介…なんだこの誤変換,神田商会扱いのトラベラーギターのウクレレを試奏.これが,小さくて実にいい.全長451mmなので,ちょっとした羽子板をひっくり返すとウクレレになってましたってサイズだ.夜中に爪弾くにもいいし,ステージでハウリングを気にせず弾けるし,持ち運びも楽だ.これで,テナー,せめてコンサートがあれば欲しいなと担当の方に伝えた.さて,実現するのやら?
Kanda Shokai Corporation [ TRAVELER GUITAR ]


次に,MorrisのOOサイズのオールマホガニーのギターを弾いてみた.メーカーサイトには掲載されていないが,Martinコピーではなく,国産ならではの丁寧な作り込み,フィンガーピッカー向けの新しいイメージのギターだったが,これも弾き込んだら楽しいだろうなと思わせるギターだった.ほかにも,ショーモデルと思しきキカイダーのような半分ごとに材の違うギターもあったが買えないものを弾いても参考にならないので他のブースへ.


Dean Markleyなどの輸入元のTMC扱いの,ボルダークリーク・ギターの6弦ギター,三木楽器の心斎橋の地下にアコースティックベースが置いてあるが,6弦ははじめて見たのでいい機会と試奏してみた.ボディサイドにサウンドホールがあるので奏者にも聞こえやすいとの触れ込みだが,座った状態では腕がかぶさるようで思ったほどには…このギターは,表面板を二本のアルミ棒で連結することで強度を確保してブレーシングを少なくして鳴りをよくするという方策だった.エレアコとして試していないが,10万円強くらいの価格帯で個性的なスタイルなので,別の機会にアンプを通して試してみたいと思った.


http://www.tmc-liveline.co.jp/bouldercreek/guitar.html


カットモデルが目に留まった,Breedloveのギターも試奏してみた.こちらは,ヤマハの輸入部門のヤマハミュージックトレーディング扱い.カットモデルの何が気になったかと言うと,ブリッジの下から木のブロックを介してつっかえ棒が出ている.これも,先のボルダークリーク同様,補強材を併用する事でブレーシングを細くして,表面板の振動を抑制しないと言うアプローチだった.





そして,ヤイリギターのブースでは,金属製のテールピースを装着した12弦ギターが目に付いた.通常の木製のブリッジと,金属製テールピースとの組み合わせだが,基音となる弦のボールエンドは木製ブリッジへ,倍音用共鳴弦のボールエンドが金属製のテールピースに固定されていた.見た目上の工夫?とたずねると,12弦ギターは6弦ギターに比べて表面板のブレーシングが強固になるので,弦のテンションを減らす事でブレーシングを細くして12弦の強度に耐えられるように制作したと言っていた.なるほど,そういう理論があっての事であるなら,いいアプローチだ.実際に試奏しても旧来のネックの太い12弦と違い,弾きやすさや軽やかな音色もわるくない.30万円超なので実際に買う事はないと思うが,ヤイリギター再評価してもいいなと.


ここまで三社のギターで,ブレーシングの軽量化,簡素化というのがちょっとした今年の流行かと思った.


富士弦のブースにウクレレが並んでいたので,そのうちの一本を試奏させてもらった.定評あるフジゲンの製品ゆえ実によくできている.できているのだが,ハワイ製のウクレレを何本も弾いてきた感覚からすると,ウクレレって日本人のギター制作の緻密さばかりでなく,多少のいいかげんさこそがあの軽やかな鳴りにつながるような気もしてならない.壊れない完璧な楽器よりも,壊れたら直せばいいよ!っていう姿勢が,強度よりも鳴りにつながるんじゃないかな?


マルエは,ウクレレやギターのケースで知られたブランドだが,近年ウクレレ本体も盛んに取り組んでいる.aNueNueというブランドのウクレレは廉価でいい材を用いたウクレレだが,一本だけギターを持ち込んでいた.参考出品のそのギターは,クラシックギターのようなシダー材の表面板で非対称のサウンドホールまわりのパーフリングがちょっとした手工ギターぽかった.試奏させてもらったが,カラっとした音で悪くない.価格帯は4万円程度だというが,見た目は10万超のギターだった.もっとも,ギターはウクレレと違い競争が激しいので市場導入は様子見でサウンドメッセ会場に持ち込んで評判をたずねていたとか.ほかにも,ハープウクレレというのがあったので,こいつも試奏してみた.前世紀ころに流行っていたハープギターよろしく,テナーサイズのウクレレのネックわきからせり出したウイングに四本の開放弦が追加されているものだ.見た目の派手さと,案外手頃な価格(115,000円)と相まって,飛び道具にほしくなったが…その場では踏みとどまった.


http://www.marue-jp.com/products/ukulele_anuenue_other.html


毎回,制作過程を見せてくれるヘッドウェイは,今年も目の前でウクレレ工房を再現していた.楽器制作てのは実に手間のかかる事で,これを自分でやると考えると値段で文句を言いづらいなと.ともあれ,先日の火災で心配していたが,ヘッドウェイは今回もたくさんのギターを並べてにぎやかに出展していたので安心した.そうそう,ローズウッドの端材をギターボディの形に加工したヘッドウェイロゴ入りのノベルティキーホルダーをいただいたが,これがローズウッドのいい匂いがしていいものです.


素人なんでちらりと覗くだけですが,ギター用の木材や,専用工具,インレイ加工業者さんなどの展示は昨年同様,ショーを見に来たなって満足感をおぼえます.


ルシアー,ビルダー系のギターのブースは,そのただならぬ殺気に恐れをなして,今年もスルーしました.なんか怖いんだよな,「職人のこだわり」みたいなのは,表に出ない方が粋だと思うんだが,そんな事を言ってちゃ厳しい競争に勝ち抜けないんでしょうな…


その点,ウクレレ工房の方は,ギター工房に比べるとちょっとだけ敷居がまたぎやすい.今年は,タカハシウクレレ工房のブースにおじゃました.DONぐり2と,DONべるというカラフルなミニウクレレが四本並んでいて,許可をとってその一本を爪弾いてみると,オルゴールチューニングと名付けられたオクターブ上できらきら響くさまは,そうそうウクレレってこういうところがかわいらしいよねと思った.


http://www.takalele.com/11_don_feature.html


レギュラーサイズのウクレレも試奏させていただいたが,小音量でもきれいに響くウクレレでこれはなかなかいいなと思った.直販のみなので,試奏する機会がないと音に触れるのも難しいが,これはいいウクレレだなと.


そろそろ撤収作業に入っていたホールの外のブースものぞいてみると,背の高い白人さんが日本語で話しかけてきたので,何を扱ってるのかをたずねると,タッピング奏法用のミュートを持ってきたとの事だった.デモ用のベースがあるというので,さっそく試奏してみる.Jams Factoryの銘の入ったJazz Bassのナット側にそのミュートが装着されていて,なるほど開放弦をタッピングする際に余計な音が鳴らない.市場は小さいとは思うが,こういうのがあるのがショーだよね.





ホール内に戻って,ワタナベ楽器のブースで,黒澤楽器ブランドのスタッフォードのメイプル指板の中古Stafford STAFFORD MAPLE(49,800円)を試奏.いい意味でチープな音でちょっとそそられる.アコースティックでメイプル指板ってのも,高価なGibsonくらいでしかみかけないのでちょっといいなぁと.


http://www.digimart.net/a-guitar/inst_detail.do?instrument_id=DS01771114


最後に,梅田ナカイ楽器のブースで,Cole Clarkの中古をアンプで音を出して試奏.定評のあるエレアコサウンドはやっぱりいい.仕上げの粗雑さや,特殊な材の組み合わせ,素人が輸入代理店をしたせいで悪評が立ち代理店が消滅していた.今年になって,山梨県上野原市Studio SAVIがメンテナンスを引き受けてくれるそうなので,今なら前よりも信用できそうなのもいい.

http://www.studio-savi.jp/Studio_SAVI/Welcome.html

そして,同じナカイのブースで1965年製のGibson LG-1を試奏.ラダーブレーシングのほっこりしたGibson,最近はこういう小さいのがいいね.年末まで売れ残ってたら買うと空手形を切って帰途に.