色覚異常に好ましくない色彩デザインの例
写真は、京都市営地下鉄東西線、烏丸御池駅の路線図
問題の箇所は、路線図下側にある部分
「○●内表示は駅番号」
○(しろまる)が赤、●(くろまる)が緑で表示されている。
赤緑色覚異常(または赤緑色盲とも)は、日本人男性で20人に一人とも言われている(参考1)。実際には、まるの中に「T13」、「K08]のように路線名の略号と番号が書かれているが、赤緑色覚異常の人に見づらいであろうことが予測できる。
疑似体験してもらう意味で、カラー写真をモノクロに変換した物を並べてある。南北に走る烏丸線と、東西線を色で区別するのに困難を感じないだろうか?
駅などの公共空間には、利用者の便宜を考えて(好意から)色による案内が多用されている。色を補助的に用いるのは、利用者の多くにとって利便性を高めることにつながるが、色だけに依存した表示はしばしばマイノリティに不便を強いることになる。
京都市営地下鉄だけをあげつらうことは本位ではない。他の例をあげよう。
東京メトロのような複雑な路線においては、、色覚異常がなくてもドーナツ状の色彩別の路線表示は、わかりにくさの原因ともなっている(参考3,4)。
公共性の高いサービスにおいては、公平性が求められる。わかりにくい表示を行うことで、迷った人を案内する必要が生じる。駅員の数を減らすのと同様に、わかりやすい色彩デザインやカラーユニバーサルデザインの導入も、立派な合理化案のひとつだろう。企業や自治体が合理化を追求するのなら、無視できない数の「マイノリティ」に対しても対応できるように標準設計を行うべきであり、コストのかかる人の手はそうした設計でもカバーできないところにのみ使えばいい。
いわゆる「健常者」だって、加齢に伴い高齢者という助けが必要な側になる。じいさんになった自分は、いちいち駅の案内くらいで人手を借りたくない。わかりやすい公共空間のデザインは、思いやりじゃない、むしろ尊厳の問題だ。
興味のある向きは、参考4のバリアフリープレゼンテーションもあわせてどうぞ。
参考:
1. 色覚異常 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
色覚異常 - Wikipedia
2. 第3回「カラーユニバーサルデザインってなに?」
もじもじカフェ > 第3回「カラーユニバーサルデザインってなに?」
3. 2003年度2月講演会: 「使いやすいユニバーサルデザインの実現のために」
―色覚バリアフリーの見地からの商品・サービス開発―
http://www.ciaj.or.jp/contents_ja/design2/un_wg/200302.htm
4. 「細胞工学7月号 色覚の多様性と色覚バリアフリーなプレゼンテーション」
色覚の多様性と視覚バリアフリーなプレゼンテーション