メニュー展開で迷走する吉野家
吉野家、新味「牛鍋丼」と新「追っかけ」を発売(日経プレスリリース)
プレスリリース : 日経電子版
味についてはそれぞれの好みの問題があるから俎上にのせません.
後発の松屋やすき家は,早くから牛丼とカレーの二軸でメニュー展開し,それらに何かをトッピングすることで,最小の準備と努力とでアイテム数を増やした.近年は,レトルト食品などを導入してこれらと重ならない丼や定食メニューも追加している.ようは,牛丼・カレーの二軸に加えて,多様なレトルトを併用する事で,小コストで多様なメニューをつくりだしている.もはや,かつての牛丼屋のイメージは微かに残るばかりで,カウンター席の一人客から,テーブル席では家族連れ客にまで対応している.
http://www.matsuyafoods.co.jp/menu/list/
すき家
対する吉野家は,牛鍋丼などの一系統増える割に,客から見て牛丼と重複する新鮮味の無いメニューを追加したり,既存のメニューとつながらない季節限定のうな丼を出してみたりと,手間ばかり増える割にリピーター獲得につながっていないように見える.今更ながらにカレーを追加してみたが,ここでも「こく旨カレー」と「旨辛カレー」と,中軸でないカレーを二種類も投入し現場の手間を増すばかりだ.古くからある定食メニューもレトルトの鮭と牛皿など見栄えがしない.
http://www.yoshinoya.com/menu/index.html
牛丼に加えて牛鍋丼,カレーが二種類など新しいメニューをひとつ追加するコストは,吉野家の方が他店より大きいはずなのに,肝心の追加されたメニューが既存のメニューの具材や味付けとかぶっていたり,結局どっちのカレーを売りたいのかが見えなかったりと,注いだコストに見合うだけの変化を表現できていない.
古い店であれば厨房は牛丼とレトルトの塩鮭を温める事以外を考えずに設計されている.新メニューは店舗によってあったり無かったりで,宣伝をみて来店した客に新メニューを提供できず追い返していたりもする.
毎日同じものしか食べないという人もいるだろうが,多くはできれば毎日違うものを食べたいと思っているのではなかろうか?カレー,カレー,カレーと続けて食べれば,好物だってそのうち鼻についてくる.毎日通う店に求められているのは,インドカレーと欧風カレーと,タイカレーを出せというような,類似品の中での差異ではなく(それならそれぞれのうまい店に行きます),違うものを食べた感のあるメニューじゃないのかと.うまいまずいも大事だが,それ以前に,昨日たべたものと違うものを食べたいという客の欲求を満たすのに,吉野家は成功していない.
全部茶色だろ,吉野家の皿の上にあるものって!!
吉野家 - Google 検索
すき家を画像検索すると,茶色に次いで緑色がある.こういうことが,違うものを喰ってるなぁという感覚の裏付けになるんじゃないのかな?感性研究のに詳しい人がいたら聞いてみたいところだ.
すき家 - Google 検索
まぁ,松屋も画像検索すると吉野家と代わり映えしないけどね…
松屋 - Google 検索
世の中に,24時間営業の店がそうそう無かった頃は,夜中でも明け方でも食事ができる事だけで満足で,その他の些事は気にならなかった.しかし,いまや街中でも郊外でも24時間営業の店などどこにでもある時代に,吉野家のやり方では今以上に客層を広げることは難しい.ことに,街中のカウンターだけの店舗では家族客など取り込みようもない.
問題は,牛鍋丼にのっける何かを追加するような枝葉じゃない.拡大路線や,他のチェーンとの競争はあきらめて,自分の得意分野にのみ注力するより他に生き残りは困難じゃないのだろうか?
1980年に一度倒産しているが,今の迷走振りを見るに吸収合併とかをやってる場合じゃないと思うのだが?