サウンドメッセ,シンセサイザーフェスタ,寺田町フェスティバル



普段は出不精なんですが,この週末はけっこうあわただしく動き回っていました.


10月8日(土曜日)
サウンドメッセin大阪2011(ATCホール)


10月10日(日曜日)
シンセサイザーフェスタ2011(ヒューマンアカデミー大阪校B1ホール)
・寺田町フェスティバル(fireloop2011)



土曜日のサウンドメッセは,前日の深酒がたたり土曜日の出だしはずいぶんと遅れたので,11時から18時までなのに到着が16:30と残り一時間半しかなかった.ライブやデモ演奏は置いといて,とにかく各ブースを回ることにした.


サウンドメッセ in OSAKA | 国内最大級!ギター・ウクレレの祭典「サウンドメッセ in OSAKA」の公式サイト。


まずは知り合いの楽器屋さんのブースで挨拶を.僕が売約をかけてある謎の楽器をちょっとだけ試奏.それから,入り口に近い列の販売店のブースを回る.メッセ期間中だけの特価商品が結構あった.クレジットカードも使える店が多かったが,この時期にまたギターを買うのもと自重した.


おもしろかったのは,材料メーカーのブース,カーボンやチタン製のトラスロッドなどは素材の違いと重さや,同じチタン材でも叩いたときの音の違いを確かめられたり,インレイ用の貝や,ハカランダやスプルースなどのボディ材などがたくさんならんでいる様は,楽器店では見られない光景ゆえ楽しかった.


個人製作家のブースは,ギターのブースはどうにもともだちになれそうも無い人ばかりだったのでもっぱらウクレレばかりをみていた.静岡のBLUE STRINGSって工房のコーラルブルーのエレキウクレレがなかなか素敵だった.3-1の非対称ヘッドにメイプル指板ののテナースケールネック,キルテッドメイプルトップにマホガニーセミホローボディ,ボディサイドにサウンドホールがあるウクレレ


[ BLUE STRINGS // エレキウクレレ完成]


翌日は,心斎橋のシンセサイザーフェスタへ.御堂筋が歩行者天国であちこちで演奏をしたりしているなか,会場入り口には案内の人もなく,小さい告知がぽつねんとあるだけで開場してないのかと一旦は暇つぶしに散歩に行ったくらいで感心しない.あれこれ試してようやく会場にたどりつき,開演していたライブの観客に.ライブそのものはなかなかよかったが,いかんせん最前列?とおぼしき客が会場の真ん中あたりに座り込んでいるため,いきおい後からの客がぎゅうぎゅう詰めになってた.ともあれ,マニア層相手のため「熱狂のライブ」とはならないが,静かに熱心に聴いているお客さんが多かった.


http://www.jspa.gr.jp/synthfesta/2011/


時間がないので駆け足で会場を一周しただけだが,大阪の「地シンセメーカー」のREONには意欲を感じたし,moog IIIは裏から覗き込めて当時のmoog社のラベルまで見られたりと楽しかった.メーカーのブースではKORGはそこそこがんばっていたが,RolandYAMAHAの展示にはがっかりした.東京会場のことはわからないけど,三大メーカーのうちの二社があれじゃあなと.楽器は普段から楽器店の店頭で触れるし,こういうイベントゆえ開発エンジニアが付きっ切りでマニアからの質問にこたえるくらいの事はしてもよかったんじゃないか?そうやってプロでない自腹で楽器を買うミュージシャンのニーズを吸い上げていく絶好の機会だったと思うがそういう意欲は感じなかった.ものをつくって宣伝だけしてたら売れるなんて時代はとっくに終わっている.無料のVSTプラグインiPhone用アプリが何十円で楽器を提供している中で,ハードウェアを売る商売として潜在的顧客への対応があれじゃあ売れるわけ無いよなと.


そのまま地下鉄とJRを乗り継いで寺田町へ.ここまではお客さんだったが,ここから出演者へ.


atelier teradacho festival 2011.10.09
http://teradacho.com/top.html


フェス開催中のはずなんだけど,それらしき人を見ない…ほんとにやってんのか?といぶかしみながらも,徒歩一分で会場のfireloop2001に到着.会場入りすると今日ゲスト参加するバンドのメンバーがいて,キツネに化かされた訳では無さそう.2時半からのリハーサルで簡単なチェック,いろいろ持ち込んだがKAOSSILATORをMarshallにつっこんでノーエフェクトでいくことにした.5時半から出番で楽屋もせまいのでイベント協賛しているという店に向かうも,一軒はあきらかに閉まっているし,もう一軒はどこにあるのかわからない.もしかしてこのイベントは歓迎されてないの?仕方ないのでガード下の寿司屋のかんばんをかかげてる定食屋で早めの晩飯にする.途中,ガード下ゆえの電車の揺れかと思いきや地震だった.


16時開演で,食事を済ませて戻ってくるとけっこうな数のお客さんがいてほっとする.僕が参加するバンドは,以前はギター,ベース,ドラム,ボーカルというオーソドックスなロックバンドの編成だったはずが,気がつけばDJを軸にしてドラムスが生で,ギター,ベースレスの不思議な編成になり,ベーシストがボーカリストになり,ボーカリストパフォーマーに…ぼくもかなり適当な方だがこのバンドもかなりのもんだ.


出番になってステージに上がる.客席の反応がいい.僕はサポートメンバーなんで自重していたが他のメンバーはステージ上に客席にと結構暴れまわっていた.思いつきではじめたMarshallのアンプとKAOSSILATORは案外相性がいい.これまではDIからラインで直出しや,ベースアンプとエフェクターの組合せで演奏する機会が多かったが,PAに音量を任せたり,ベースアンプの特性ゆえ,本番で周囲の音量があがったりしても,手元で音量をコントロールできないKAOSSILATORでは対応できずに悔しい思いをする機会が多かった.Marshallでは,(あんまり極端なのは嫌われるだろうが)その場の状況に応じて音量をコントロールできるし,そもそも音自体の存在感がベースアンプよりも強い.リアクション芸人よろしく,トラックやドラムス,ボーカルを拾いつつどこの音域に音を足す,どのリズムがほしいと,どういうレスポンスを返すかだけに専念した.このところちょっと倦怠期っぽかったKAOSSILATORとの関係で新しい局面が少しだけ見えたような気がする.

共演者や,DJ周りはMacBook率が高い,iPhoneiPadも普通にパフォーマンスに使われている.もう,道具や機材だけで個性が主張できるような時代じゃないのかも?アイディアやイメージをはっきり打ち出せないと埋もれるなとも感じた.


いちばんリズムにうるさいと思われていたブラックミュージックが真っ先にリズムマシーンに飛びついたように,人間であろうが無かろうがいい音楽はいい.トラックメイキングの技術と,ボーカリストなり,ラッパーなり,楽器なりを一つ足せばそれだけで(DJとは違う)ライブパフォーマンスとして成立する.ブラックミュージックが真っ先にリズムマシーンを取り入れたように,結果としていい音楽ができるなら手段はどうでもいいんだな.


土日のイベントを通して,楽器が弾けることはひとつのアドバンテージでではあるけれども,2011年の音楽においてはそれは必要条件ではなくなったようにも感じた.ともすれば,ミュージシャンはミュージシャンの間での心地よさを追求して,それが必ずしもオーディエンスに還元されていないこともある.「今日のオレの(お前の)プレイは最高だった」ってのは,いちぶのオタクなオーディエンスにとっては重要なのかもしれないが,それは料理の皿の上のパセリくらいの位置づけかなとも?


自身が楽器オタクでもあるので,日本で一番のパセリを誇る料理屋を志向したり,希求したりしてしまいそうになるが,こと自分が演者であるのならばパセリよりは料理の味と,食べた人の笑顔の方を優先したい.