ギターメーカーのヘッドウェイで工場火災



11日夜,松本市にあるギターメーカーの株式会社ディバイザー,エレキギターのBacchus,アコースティックギターのヘッドウェイ(HEADWAY)ブランドで知られる工場を火元にする火災があったとのこと.ヘッドウェイ,Bacchusともに,大メーカーに比べ規模は小さいが良質なギターブランドとして名高い.これらに加えて,近年はマスタービルダー百瀬恭夫の名を冠したMomoseブランドとして,高級なギターをリリースしている.


火災で有毒ガス、住民避難…松本の工場団地(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/news/20120712-OYT8T01528.htm


松本の工場団地火災 フッ化水素の漏出はなし 原因を調査 (信濃毎日新聞)
http://www.shinmai.co.jp/news/20120712/KT120712FTI090002000.php


幸い,けが人はなかったそうだが,一時は隣接する薬品卸の倉庫に延焼し住民が避難したとか.


会社概要にある本社は長野県松本市大字笹賀7072-6にあるが火災の発生場所はこちらではないようだ.
http://www.deviser.co.jp/modules/documents/


ニュースにある,今回の火災で延焼した共立化学は,「〒399-0033 長野県松本市笹賀6008」とのことで,Googleマップで確認すると,日産部品の東,共立化学の南,本社より5キロほど北にある別の場所にもう一つヘッドウェイの工場がある.
Google マップ



余談だが,道路を挟んで日産部品の西隣には,日本を代表するアコースティックギターブランドのモーリスなどで知られるモリダイラ楽器の松本商品センターがある.そして,そのモーリスの工場であるモーリス楽器製造株式会社が松本市大字笹賀5652-12にある.また,地図によれば,これまた日本を代表するギター製造元のフジゲン(株)の大久保倉庫も同じ大久保工場公園団地にある.ここは,日本のギターの一大供給源である事は疑いの余地もない.


http://www.morris-guitar.com/about_com.html


信濃毎日の記事から引用すると,

「出火元のヘッドウェイの男性従業員によると、焼失した同社の建物内にはギター塗装用の塗料や汚れを落とすためのガソリンを容器に入れ保管していた。普段は作業でハンダゴテや家庭用アイロンを使うが、11日夕の作業後に電源を切ったのを確認。同日午後7時半ごろ、最後の従業員が会社を出たという。」


何らかの原因で保管しているガソリンに引火した事で火災の規模が拡大したと見て取れる.


このヘッドウェイだが,過去に1983年にも火災にあって工場やストックしていたギター材をすべて焼失した事がある.そのため,アコースティックギターの製造ができなくなり,エレキギター専門の工場として再スタートして,1999年にやっとアコースティックギターの製造を再開し,そのクオリティの高さで評価されたと思ってた矢先に今回の火災の報は残念でならない.


なお,この日記を書いている時点では,株式会社ディバイザーのサイト,ブログ,Facebookではまだ何も知らせは無い.けが人が無かったのは不幸中の幸いではあるのだが,ギターメーカーに取っては,木材のストックは何よりも重要なものだ.近年良質な材の枯渇が叫ばれる中,どうか被害が軽微である事を願ってやまない.また,一日も早いギター生産の再開を期待しています.


手元不如意でなかなか貢献はできませんが,今,店頭に並んでいる(国産,海外産を問わず)ディバイザー社製の新品ギターを買う事が何よりの支援なのは間違いありません.中古を買っても支援にはなりませんから.