ソリッドボディギターの父



レス・ポール所有のギター、1400万円超で落札
レス・ポール所有のギター、1400万円超で落札 - ロイター


僕らが今日,大音量でハウリングしないギターサウンドを奏でられるのも,偉大なレスポールおじさんがいればこそだ.記事では,今回オークションに出されたのは,レスポール・レコーディングの試作品だという事だが,レスポールコレクションのうち,音楽史的に最も値打ちのあるのは,The Log(丸太)と呼ばれるギターだ.





ギターの胴は,減振動を共鳴させるために板を張り合わせた箱であるのが当然だったが,レスポールスチールギターのマグネティックピックアップを流用して,手持ちのEpiphoneのギターに4by4建材で造った「ボディ」を継いでソリッドボディのエレキギターを創造した.







ソリッドボディのギターは,大音量にしてもハウリングを起こしにくく,サスティーンも長かった.大編成,大音量化していくバンドの流れの中で,ギターが主役となる土台を提供したと言えるだろう.


その他にも,レスポールはヘッドレスギターの原型,数多のレコーディング用イクイップメントを発明した.MTR(マルチトラックレコーダー)のテクノロジーは,現代の音楽制作の99%以上の現場で使われているのではなかろうか?


もちろん,ミュージシャンとしてもすごい人だった.「世界は日の出を待っている」,"How High the Moon"を筆頭としたヒット曲をリリースし,94歳の死の直前までニューヨークで毎週演奏を続けていた.今回落札されたギターの1400万円なんて,彼がその後の音楽の歴史に与えた影響から思えばおどろくに値しない数字に過ぎない.


ちなみに,「世界一高価なギター」については拙文があるのでよろしければご参照ください.
世界一高価なギター - diary in situ


Les Paulの綴りからは,レス・ポールと表記するのが正しいのでしょうが,日本での慣例に従い本文中ではレスポールとさせていただきました(人物名はレス・ポールでギターはレスポールという説もありますが本文中では区別していません).