ニート:貧乏人の有閑階級という発明

in_situ2009-06-04



日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (1/3) - ITmedia NEWS


結局,梅田望夫は仕事や金を通してしかWebを語れないのか?ようは,この人にとってWebは楽しい遊び場ではなく,銭やキャリアにつながるところなんだろう.


インタビューから一部を引用してみよう.


 英語圏ネット空間は地に着いてそういうところがありますからね。英語圏の空間というのは、学術論文が全部あるというところも含めて、知に関する最高峰の人たちが知をオープン化しているという現実もあるし。途上国援助みたいな文脈で教育コンテンツの充実みたいなのも圧倒的だし。頑張ってプロになって生計を立てるための、学習の高速道路みたいなのもあれば、登竜門を用意する会社もあったり。そういうことが次々起きているわけです。

 SNSの使われ方も全然違うし。もっと人生にとって必要なインフラみたいなものになってるわけ。



ヨコのものをタテにしてありがたがるのはもうたくさんだと思う.個人的には,日本のWebの用いられ方は,彼が言う英語圏ネット空間よりも,銭儲けから距離がある点において,よっぽど先を進んでいると思う.もちろん,ネットオークションや通販,ダウンロード販売などの金がからむコンテンツが無いとは言わない.だが,日本におけるWeb使用は,怠惰な暇つぶしにこそもっとも重きが置かれている.これが文化じゃないのかね?言っちゃ悪いが,銭金キャリアに汲々としているのは,文明の水準に留まっている,文化ってのはもうちょっと自己目的というか,端的に言うと暇つぶしだ.だが,その暇つぶしこそが人間様ならではの高尚さではなかろうか?


それこそ,欧米圏?の貴族や特権階級は富の偏在を根拠に働かずに文化にばっかりいそしんでいたが,21世紀の日本人は貧乏人の有閑階級という新しいニッチを生み出した.


まったく裏づけを用意していないが,20世紀型,資本主義的文脈に沿って,もっと稼げ,もっと使え,もっと働けってのに世界が疲弊しているのが,全世界共通の不況の根源にあるのではと思っている.だって,資本主義って,安く作って高く売り儲けるんだろ?中国が富裕化したら,誰が安くつくるんだい?貧困人口はたくさんいるが,それらの多くが,大量生産に適する手先の器用さや勤勉さを兼ね備え,集約的に暮しているのだろうか?


というか,そうした勤勉な労働者が夢見る将来のビジョンは,日本では既に消失して久しいよね.若年層の少なからずが,見返りの期待できない事で努力を放棄して,いわば長期ストライキに入っている.ニートなんてその代表例だろう.


ヒッピーやホーボーだのが,次代のサブカルチャーへの礎になったよう(いや銭金に目覚めちゃったんだけどさ)に,ニートってもうちょっと長い目で見た方がいいとも思う.


もちろん,不発弾の可能性が大だろうけど,これまでみたいに,目を吊り上げて金を稼いだヤツがいちばんえらいって価値観がバカバカしく思えて仕方がない.こういう,勝ち負けで言えば「負け組」の実感からしか,新しいものなんて出てこないと思うけどね.